After the Rain『桜花ニ月夜ト袖シグレ』若い世代にこそ聴いてほしい、深い意味の歌詞だった。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=cKFJUhLqqr4

桜の咲く春の ため息になれたら
泣いてるキミの 鈴の音を そっと
揺らしてあげられる?
どうしたってさ 人目を惹く 黒い髪と華奢な肩は
指の間をするりと抜ける
どうやら見えないらしい
わかっている それでも
その声を聞いて ボクは救われた
キミで満たされていく
桜花 キミに恋したようだ 催花雨に袖を引かれて
今日も傍にいていいですか
千の夜に閉ざされても 理に叶わなくても
キミに届け 月夜ニ袖シグレ
この時計を左向きに回せたって それくらいさ
となりの世界じゃどれもガラクタで
価値のないものらしい
いつしか誰かと愛を紡いだって
泣きそうな夜は
傘を差してあげよう
桜花 ボクは恋に落ちた 水面の月を求めた
されど手遊ぶはガラスの色
千の夜が瞬く間に 闇夜を縫って君を隠す
行き場のないこの手は空を切る
ねえ 見えなくたって構わない
好きだって言わせてよ
いつまでもここにいるんだ
桜花 隣にいるのになあ
遥か遠く 遠く 遠く 咲き乱れる
ボクは幸せだ 泣かないから
千の夜に閉ざされても 理に叶わなくても
キミに届け 月夜ニ袖シグレ

はじめに

2016年4月13日に発売されたAfter the Rainの1stアルバム「クロクレスストーリー」の1曲目に収録されている『桜花ニ月夜ト袖シグレ』。

MVは桜の花と、黒い長い髪のセーラー服の少女、神社が描かれています。

一見、青春の恋愛ソングに聴こえる歌詞ですが、「どうやら見えないらしい」「見えなくたって構わない」など、謎めいた歌詞が入っています。

MVをヒントに、『桜花ニ月夜ト袖シグレ』の歌詞を見ていきましょう。

タイトル『桜花ニ月夜ト袖シグレ』の意味

「桜花」は桜の花。

「月夜」は月が見える夜。

「袖シグレ」は「袖時雨」、袖に落ちる涙を雨のように例えた言葉です。

「桜の花と、月が見える夜に泣いている」という意味のタイトルです。

というのはそのままの解釈で、歌詞の意味を読み解くと、もっと深い意味があるように感じられます。

歌詞考察の途中でご説明しましょう。

『桜花ニ月夜ト袖シグレ』のテーマ

一見、ありきたりな恋愛ソングだと思われますが、実はそうではないようです。

MVでは桜の花と、セーラー服の少女。

卒業ソングのようにも思えますよね。

でも、そんな別れではないのです。

『桜花ニ月夜ト袖シグレ』のテーマは、ずばり、日本の過去の理不尽な戦争参加に対する、犠牲者の想いだと考察します。

『桜花ニ月夜ト袖シグレ』の歌詞中の登場人物

1番のAメロに登場するのは「キミ」。

そして、1番のBメロに「ボク」という歌詞が使われています。

登場人物は「ボク」が想いを寄せる「キミ」と、「キミ」からは見えない「ボク」です。

『桜花ニ月夜ト袖シグレ』歌詞の意味

少女に恋する見えない存在

桜の咲く春の ため息になれたら
泣いてるキミの 鈴の音を そっと
揺らしてあげられる?
どうしたってさ 人目を惹く 黒い髪と華奢な肩は
指の間をするりと抜ける
どうやら見えないらしい

まふまふさんのささやくような声ではじまるAメロ。

MVでは、桜の散る様子が描かれています。

「春の ため息」になるとはどういうことなのでしょうか。

次の、「鈴の音を そっと 揺らしてあげられる?」から、春の風になりたいということだと思います。

「ため息」というところが人間らしく、意思をもった見えない風。

その後「どうやら見えないらしい」と、自身が見えない存在であることが分かります。

透明人間?

ではありません、よね?

MVでは、そらるさんのパート「どうしたってさ」から、黒く長い髪の制服を着用している女性が描かれています。

「人目を惹く 黒い髪と華奢な肩」から、周りからも人気の高い、高嶺の花のような、アイドルのような、手の届かないくらい美しい容姿を持った少女への恋心が感じ取れます。

順に歌詞を考えてみましょう。

せつない恋心

わかっている それでも
その声を聞いて ボクは救われた
キミで満たされていく

恋する少女からは、「ボク」が見えていないことは分かっている。

それでも、少女の声を聞くだけで、「ボク」の心は穏やかになれる、安心できる。

少女への恋心が大きくなっていく「ボク」。

なぜ、少女から見えないのでしょうか。

まだ疑問が残ります。

「見えない」意味

桜花 キミに恋したようだ 催花雨に袖を引かれて
今日も傍にいていいですか
千の夜に閉ざされても 理に叶わなくても
キミに届け 月夜ニ袖シグレ

「桜花」はそのまま読むと桜の花ですが、歌詞の流れから、もっと深い意味がありそうです。

調べてみると、「桜花」とは太平洋戦争中に開発された日本海軍の特殊滑空機で、特攻兵器として使用されたそうです。

古い日本を思わせるタイトルのカタカナの使い方。

そして、MVで描かれている、セーラー服の黒髪の少女。

つまり、過去に起きた戦争の桜花部隊として、戦死してしまった「ボク」が、少女への恋心を歌っている曲なのだと想像できます。

少女への恋心が残り、姿は見えないけれど、少女の傍で見守っている「ボク」。

ここで、タイトルの意味をもう一度考えてみましょう。

「桜花」が特攻兵器だとすると、「桜花」の特攻兵となったボクが、月の見える夜に涙を流して死んでいく。

隠れたタイトルの意味が読み取れます。

2番の歌詞も考えてみましょう。

過去には戻れない

この時計を左向きに回せたって それくらいさ
となりの世界じゃどれもガラクタで
価値のないものらしい
いつしか誰かと愛を紡いだって
泣きそうな夜は
傘を差してあげよう
桜花 ボクは恋に落ちた 水面の月を求めた
されど手遊ぶはガラスの色
千の夜が瞬く間に 闇夜を縫って君を隠す
行き場のないこの手は空を切る

明るいイメージの曲調の間奏を挟んで2番のAメロが始まります。

「この時計を左向きに回せたって」

時計を左向きに回して、時間を巻き戻せたとしても、「今」の状況が変わるわけではない。

無意味なこと。

「ボク」が恋心を寄せる少女が、この先、他の男性と一緒になっても、その男に泣かされた日には、「ボク」が優しくしてあげる。

どんなに時間が流れても、少女への気持ちは変わらず、見えない「ボク」は少女の傍にいて、守り続けたい。

そんな深い愛情が歌われているようです。

行き場のない気持ち

ねえ 見えなくたって構わない
好きだって言わせてよ
いつまでもここにいるんだ

静かなピアノの音色に変わり、大サビへ。

「ボク」の感情が、ストレートにわかりやすい歌詞で徐々に強く歌われています。

気持ちだけは傍にいるのに、見えない存在になってしまった。

「好き」と伝えたいのに、伝えることもできない。

もどかしい気持ちです。

桜花 隣にいるのになあ
遥か遠く 遠く 遠く 咲き乱れる
ボクは幸せだ 泣かないから
千の夜に閉ざされても 理に叶わなくても
キミに届け 月夜ニ袖シグレ

明るい間奏の曲調から、また静寂に戻るラストのサビ。

「遙か遠く 遠く 遠く 咲き乱れる ボクは幸せだ 泣かないから」は静寂から一転、フォルテシモとなります。

見えない存在、それでも、近くにいられる、恋心を寄せる「少女」の傍で、桜の花となり、咲き乱れる。

見えない存在でも、守ってあげるよと、そんな想いを届けたい、そのように読み取れます。

いつまでも純粋な気持ちが、桜の花のように美しいですね。

まとめ

『桜花ニ月夜ト袖シグレ』の歌詞を考察すると、日本軍の特攻兵の、悲しい恋心を歌っているのだと考えられました。

誰が望んだことなのか、世界では争いが絶えません。

理不尽な悲しい死がないよう、願ったように感じられる、ただの恋愛ソングではない、深い内容の歌詞でした。

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