砂糖塩味の「楽曲考察・解釈記」

楽曲の歌詞やMVから意味の解釈・考察をしていきます

鈴木瑛美子×亀田誠治『フロントメモリー』歌詞の意味・解釈と考察

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作者の意図や訴えを知ること、考えることでその音色は何通りにも変化します。
しかしながら多くの方々はメロディーと歌声ばかりに耳が向き、「作曲された意図」を考えていません。
私はそんな方々の代わりに楽曲の解釈・考察をして、新たな音楽の楽しみ方を提供したいと考えています。
「楽曲考察」の文化を一緒に築き上げて行きたいです。

f:id:shunichimurakoshi:20180531180401p:plain鈴木瑛美子さんと亀田誠治さんの『フロントメモリー』とても良い曲ですよね!

元々この曲はロックバンド神聖かまってちゃんの楽曲でした。今回は映画「恋は雨上がりのように」の主題歌として亀田誠治さんプロデュースの元、新人シンガー鈴木瑛美子さんがカヴァーして生まれ変わったこの曲の歌詞を、じっくり考察していこうと思います。

 タイトル『フロントメモリー』の意味

フロントは「前、正面」という意味ですので、このタイトルは直訳すると「正面の記憶」ということになります。転じて「目の前にある記憶」、もっと噛み砕くならば

 

「忘れられない思い出」

 

という意味になります。

『フロントメモリー』の歌詞のテーマ

この曲の原曲である神聖かまってちゃんヴァージョンのPVの説明欄には一言

 

「前へ」

 

と書いてあります。

この曲は頑張ることが出来ない日々、足に絡まる忘れられない思い出から一歩先に踏み出すことがテーマになっています。

 

『フロントメモリー』の歌詞の意味

退屈な日々

ガンバロっかな今日は それは昨日のつづき 

屋上でまた崩れかけてる 

男女の電車は恋バナ 終電に乗った帰りは 

Recしたこんな夕方です

「 崩れかけてる」という言葉に、このパートの中で唯一心情が表されています。誰かが屋上で何かに挫けそうになっているのです。さらにこの部分を紐解くために、神聖かまってちゃんのボーカル「の子」が歌うバージョンの歌詞も少しだけ引用します。

ガンバロっかな今日は ガンバレない 

きっと退屈だけど

アンニュイだけど

屋上でまた崩れかけてる

ここでさらに「退屈」、「アンニュイ」というキーワードが追加されます。つまり昨日に続いて今日も退屈な毎日で挫けそうだという描写になっています。

さらに「Rec」とは録音とも録画とも取れますし何かの比喩表現の可能性もあります。この意味は曲の後半で明かされることになります。

暑い夏の日、ひねくれ者の恋?

急にアイスが食べたい真夏日 外はテカテカしてまぢあっちーし

僕はこの恐怖症みたいなやつを時々感じちゃうから

42キロの重いは 絵文字使った歪な想いは

Recした夕方の中

このパートでこの曲が夏の日の出来事を歌っていることがわかります。

 

「この恐怖症みたいなやつ」というのは、前の部分で歌われていた退屈でガンバレない気持ちのことです。

 

そして「42キロの重い」と「絵文字使った歪な想い」という二つの比喩が出てきます。

ここでは「重い」と「想い」をうまく掛けていますね。

42キロの「重い」とは体重と比較すると軽い、しかし持ち上げるには重いという中途半端な重さですね。

その重さのことを「歪な想い」、と表現しています。

 

ここは、冒頭で述べた「忘れられない思い出」の詳細部分となります。

その思い出と一体なんなのでしょう?進めて行きましょう!

 

繰り返される『夏』

heybaby,yobaby,heybaby

いつまでも先に進めないのは

こんな夏さ また

きっついサイズシューズがさ

スリーポイント キメないでしょ

先に進めないということは何かに囚われていることでしょう。

スリーポイントとはバスケットにおける遠い距離から放つ難易度の高いシュートのことで、何か難しいことに失敗している比喩となっています。

シューズのサイズがきつくなっているというのは、サイズが変わってしまったことで時間の経過を表しています。

限界の日々の中に残る恋心

今日はやる気はないって ラッキーアイテムを持って

 Hip Hopなフリして自分とギリ生きている

会話も了解 ですメールすらも居留守して1人歩いた

iloveyouって英語で習ったんだっけ

やる気が出ない日々

B-BOYを装って限界ギリギリを生きている自分

メールですら居留守を使って1人きりで歩く寂しげな姿

このパートではそんな切ない描写がされています。

 

さらに最後の

「iloveyouって英語で習ったんだっけ」

では素直になれない恋の気持ちが痛いほど伝わってきます。

主役は「退屈」、だけどそれではいけない

(So)ガンバレないよガンバレないよ

Yo,そんなんじゃいけないよ

I'm bloody girling 主役は boring です

Say Yeah!

頑張ることができない日々、このままではいけないという意志が感じられます。

「I'm bloody girling」は直訳すると「私は血まみれの女の子」となりますが「bloody」は強調のスラングで用いられることがある言葉のため無視してもいいかもしれません。

つまりこの歌は少女の視点で語られていることが分かります。

「boring」は退屈という意味です。この曲は一貫して「退屈」と戦う日々のことを歌っているのですね。

怠惰な日々で見失う自分自身

急にアイスが食べたい真夏日 外はテカテカしてまぢあっちーし

扇風機に顔ぶんぶん当ててはカエルのようにこうなっちゃって

3時の感じにもたれて 窓の外をうとうと見るたび

自分なんて分からなくなってきた

 真夏の昼下がり、扇風機と戯れながら部屋でまどろんでいるうちに自分を見失いかけている少女が想像できます。

夏の日の田んぼに響きわたる叫び

heybaby,yobaby,heybaby

いつまでも先に進めないのは

こんな夏さ また

きっついサイズシューズがさ

スリーポイント キメないでしょ

そして夏さ また

Recした風景は再生せずに NEwBeat 朝はとても

夏 SUMMERTime

8月駅降りて

田んぼで叫んだりして 

単純に

 ここでまた「Rec」という言葉が出てきます。「風景」「NEwBeat」と映像と音像を思わせる言葉が続いて出てくることから、「Rec」はただの録音や録画ではなくではなく、いつか見た景色と音、つまり「思い出」の比喩だったのです。

 

さらに少女は叫ぶことによって、初めて純粋な感情を爆発させます。

「Rec」された日

ガンバロっかな今日は それは昨日の続き

屋上でまた崩れかけてる

男女の電車は恋バナ 終電に乗った帰りは

Recしたこんな夕方です

(So)ガンバレないよガンバレないよ

Yo,そんなんじゃいけないよ

I'm bloody girling 主役は boring です

Say Yeah!

 ここで冒頭の歌詞がまた出てきました。今までの考察を含めると、イメージが少し変わってくるのではないでしょうか?

電車内の恋バナはきっと少女本人の話だったのですね。

「Rec」された思い出の日もこの日のことかもしれません。

私はとっても幸せ!

ガンバレないよ

ガンバレないよガンバレないよ

Yo,そんなんじゃいけないよ

I'm bloody girling So bloody happy で

Yeah!

 ここが一番の重要な部分となります。なぜなら今までマイナスな言葉ばかりが並んでいたこの曲で初めて

「happy」

というポジティブな言葉が使われています。

田んぼで思いっきり叫んだ少女は、囚われていた思い出を吹っ切ることが出来たのでした。

解放された思い、気持ちは先の夏へ

先の 夏さまた

Say Yeah! Yeah! Yeah! Yeah! Yeah!

Yeah! Yeah! Yeah! Yeah!

先の 夏さまた

Say Yeah! Yeah! Yeah! Yeah! Yeah!

そして夏さ また

Recした風景は再生せずに NEwBeat 朝はとても

夏 SUMMERTime

8月駅降りて

田んぼで叫んだりして 

Comebaby year! yeah!

year!,,,yeah!,,,,,,

 少女の思いがついに解放されました。今まで後ろ向きだった気持ちもここで「先」に向いています。

 

最後にまた叫んだことを歌っているので、やはりこの場面は少女の気持ちが切り替わる重要な部分で間違いありません。

少女はこれから「前へ」と進んでいくのでしょう。

最後に

今作『フロントメモリー』は映画『恋は雨上がりのように』のために作られたわけではなく、以前から存在していた曲です。しかしこの歌に登場する少女は、怪我で大好きな短距離走が出来なくなってしまい、普通の恋とは違う年の離れた男性を好きになってしまった映画の主人公「あきら」を歌っているのではないかと思うほど作品とリンクしているように感じます。だからこそ今回、この映画の主題歌にも選ばれたのかもしれませんね!