ハチ『ドーナツホール』歌詞の意味・考察と解釈

 

ハチ(米津玄師)さんの『ドーナツホール』めちゃくちゃ良い曲ですけど、、、

歌詞内容が意味不明と思ってる方が多いと思います!そこで、私、砂糖塩味が簡潔に『ドーナツホール』の解釈をしてみようと思います!!あくまで自己解釈ですが、知っていると一段良い曲に聞こえますよ??

 

 タイトル『ドーナツホール』の意味

ドーナツホールとは心にポッカリ開いた穴を指します。

元ネタは「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」という有名な命題でしょう。

ドーナツの穴だけを残して食べようとしても、穴の周りのドーナツがなくなってしまえば穴も無くなります。

よって穴だけを残したと証明する事は出来ない。

『ドーナツホール』のテーマ

佐糖塩見の自己解釈的考察は、

「記憶から無くなった大切な人の事を、日常の中で思い出そうとしている。でも存在していたことを証明する事は出来ない」

という曲です。

大切な人の事が記憶から無くなり、「思い出せないけど確かにその人は存在していた」という事だけを覚えている

主人公の心境をドーナツの穴に掛けています。

登場人物

登場するのは主人公と、主人公が思い出せない「あなた」の2人です。

理由は後で述べますが、ハチさんのコメントからドラゴンクエストのようなRPGの物語だと感じました。

「あなた」は魔王を倒して世界を救った勇者、主人公は勇者と共に冒険した仲間。

「かつて自分の存在を犠牲にして魔王を倒し世界を救った勇者がいた。その仲間が勇者の事を思い出そうとしている」

というストーリーだと解釈しました。


具体的な考察

「思い出せない」事だけを覚えている

いつからこんなに大きな思い出せない記憶があったか

どうにも憶えてないのを ひとつ確かに憶えてるんだな

もう一回何回やったって思い出すのはその顔だ

それでもあなたがなんだか思い出せないままでいるんだな

心の中にどうしても思い出せない記憶がある。

それはとても大きく、きっと自分にとって大切な人の事。

その人の顔は覚えているのに、それ以外の事は思い出せない。

魔王の支配から解放された平和な世界

環状線は地球儀を巡り巡って朝日を追うのに

レールの要らない僕らは望み好んで夜を追うんだな

もう一回何万回やって思い出すのはその顔だ

瞼に乗った淡い雨 聞こえないまま死んだ暗い声

朝日を追う電車は「絶望の中で希望を追い求める」という暗喩。

夜を追う僕らは「希望の中で生きているのに、あえて絶望を求める」という意味。

魔王に支配されていた世界では、全ての人が朝日(平和への希望)を求めていた。

今は平和な世界になったけど、人々は平和に飽きてスリリングな物事を求めている。

現実で例えるならホラー映画や絶叫マシンを楽しむ心理です。

そうした平和な世界を見ながら、主人公は雨の中で「あなた」のことを思います。

だけど思い出せるのは顔だけ。まるで聞こえなかったかのように声も思い出せません。

 かつての仲間を思い出せない事に苦しむ主人公

何も知らないままでいるのがあなたを傷つけてはしないか

それで今も眠れないのをあなたが知れば笑うだろうか

思い出せないと「あなた」に知られたら、あなたは傷ついてしまうのではないか。

それともあなたは「せっかく平和になったのに、なんでそんなに悩んでいるんだよ」と笑いながら言うのだろうか。

眠れない夜にそんなことを思っています。

簡単な感情ばっか数えていたら

あなたがくれた体温まで 忘れてしまった

「あなたがくれた体温」は、触れ合いやぬくもり。「あなた」と冒険してきた全ての思い出を指します。

簡単な感情とは、「あなたが居なくなった世界で生きている事」です。

魔王に支配されていた世界は、生きるのが難しく、魔王を倒すのも難しい。

一方、平和になった後の世界では、生きるのが簡単になりました。

モンスターが攻めてくる事が無く、命の危険も少ない穏やかな世界。

かつては覚えていたのに、平和な世界で生きていくうちにいつの間にか「あなた」の事を忘れてしまったのではないか?

自問する主人公の苦悩です。

バイバイもう永遠に会えないね

何故かそんな気がするんだ そう思えてしまったんだ

上手く笑えないんだ どうしようもないまんま

「あなた」の事は顔しか思い出せないが、なぜかもう会えないと感じる。

思い出せなくても、顔さえ覚えていればいつかあった時に気付けるかもしれません。

しかしもう二度と会えないような気がする。

主人公は「あなた」が魔王と共に消えてしまったと、直感的に気付いています。

PVどうしようもないまんまのシーンでは、それまで顔を覆っていた少女の表情が明らかになります。

叫びが聞こえくるような顔です。

「あなた」が存在した事は証明できない

ドーナツの穴みたいにさ

穴を穴だけ切り取れないように

あなたが本当にあること

決して証明できはしないんだな

もう一回何回やったって

思い出すのはその顔だ

今夜も毛布とベッドの

隙間に体を挟み込んでは

すでに述べたように、「ドーナツの穴だけ切り取る方法」は証明しようがありません。

記憶の中の「あなた」は、ドーナツの穴のようなもの。

本当に居たかどうか証明する方法は無い。

「ドーナツの穴だけ切り取る方法」という方法が無いように、「あなた」が存在した証明する事が出来ない。

主人公は夜に何度も「あなた」の事を思い返し、その度に眠れない夜を過ごしています。

死なない想いがあるとするなら

それで僕らは安心なのか

過ぎたことは望まないから

確かに埋まる形をくれよ

「死なない想い」とはその通り、決して無くならない想いを指します。

主人公の「あなた」に対する強い想いです。仲間愛というのでしょうか。

僕ら、つまり人々は、強い想いを抱ける相手がいれば幸福なのかもしれない。

しかし自分にはそれがない。「あなた」がどこにもいないから。

主人公は「戻ってきて欲しいとは言わない。側にいて欲しいとまでは望まない。だからせめて『あなた』の事を全て思い出したい」と願っています。

失った感情ばっか数えていたら

あなたがくれた声もいつか

忘れてしまった

サビが表している事は1番と同じ。

「失った感情」は世界が魔王に支配されていた頃の記憶。平和な世界からすれば、魔王がいたころの記憶は過去のものです。

強大な力を持つモンスターと戦った記憶はいくらでも思い出せるのに、一緒に戦った「あなた」の事だけが思い出せない。

「あなたがくれた声」は1番の体温と同じ意味です。

「あなた」が存在した証拠をついに見つける主人公

この胸に空いた 穴が今

あなたを確かめるただ一つの証明

それでも僕は 虚しくて

心が千切れそうだ どうしようもないまんま

「胸に空いた穴」とは、タイトルの『ドーナツホール』のことです。

主人公はそれまで「あなたが居たことの証明は出来ない」と思っていましたが、逆に自分の中の抜け落ちた記憶が「あなたは確かに存在していた」という証明になる。

魔王の支配から解放された世界で、主人公はそう気付きます。

だけどそれに気付いた所で心の穴が埋まる訳ではなく、虚しさも消えない。

主人公の強い悲しみが吐露されるシーンです。

ドーナツホールの歌詞を見ると、主人公の感情がハッキリと描かれているのがここです。

1番は「うまく笑えないんだ」で、2番は「涙が出るんだ」。

対してこの部分は、「それでも僕は虚しくて、心が千切れそう」

主人公の感情が最もストレートに表れているのが分かりますね。

曲のラストに向かう場面で主人公の心境を最も伝わりやすい言葉で表現する。

ハチさんのセンスが光るポイントだと感じました。

この部分の歌詞は、曲調もあいまって非常に物悲しさが際立っています。

最後に思い出した「あなた」の名前

最後に思い出した その小さな言葉

静かに呼吸を合わせ 目を見開いた

目を見開いた 目を見開いた

あなたの名前は

小さな言葉」は、微かに思い出した記憶。

最後」とは、「あなた」の存在を証明する方法を見つけた瞬間。

「あなた」の事を思い出す為、自分の記憶の中を何度も旅していた主人公。

自分の心に空いた穴が、「あなたは確かに存在していた」という証拠である。

それに気付いた主人公は、「あなたが消えた理由」を微かに思い出しました

魔王との最終決戦で、「あなた」が自分を犠牲にして魔王を倒そうとした事。

自らの存在を消すという代償を払い、最強魔法を魔王に放った事。

結果、魔王は滅び世界が救われた事。

世界は平和になったけど、魔王を倒した英雄である「あなた」の事を覚えている者は誰も居ません。

共に旅をしてきた仲間たちや主人公でさえも。

どうしても思い出せないけど、思い出せない事こそが「あなた」が存在していたという確かな証拠なんだ。

それに気付いてようやく「あなた」の名前を思い出し、主人公の記憶の旅は終わりました。

ハチ氏の発言

「少年漫画っぽいのを目指しました」

ドーナツホールの投稿時、作詞・作曲者であるハチさんは「少年漫画っぽいのを目指した」と言っています。

後にハチ(米津玄師)さんのUstream配信において、「GUMI、ミク、ルカ、リンの4人で冒険に行くイメージ」だと語られました。

この言葉から「あなた」は勇者、主人公は「あなた」と共に魔王を倒した仲間という構図が見えてきました。

ドーナツホールには詩的な表現が多く、核心部分は曖昧にボカされています。

それゆえに「あなた」の正体について様々な考察がされています。

・主人公自身説

・ハチ(米津玄師)説

GUMIから見たハチ説

主人公自身説は、周りに合わせるばかりで見失ってしまった自分を歌ったというもの。

ハチ(米津玄師)説はボカロPであるハチから、メジャーアーティストである米津玄師になる事で失った自分の内面を歌ったというもの。

GUMIから見たハチ説はハチさんがボカロPではなく米津玄師として活動することに悲しんだGUMIの歌というもの。

私は配信で語られた「冒険に行くイメージ」から今回の考察結果となりました。

これを「世界を救った勇者説」と名づける事にします!

(なおリン以外の3人が着ている服は、ハチさんが今までに着た服だそう。てっきりファッション雑誌から構想を得た創作だと思っていましたが、ものすごいお洒落さんですね)


最後に

今回は勇者の仲間という結論を出しましたが、人よって様々な解釈が出来ます。

例えばテーマを「戦争とすれば、「戦士した仲間が英雄として称えられたが、間違った人物像が世に広まってしまった。

その間違った名声を聞いている内に自分たちも仲間の事が思い出せなくなり、生きていた頃の仲間との思い出を辿る」など。

曲として完成されつつ、考察の余地がある。

改めてドーナツホールは名曲だな~……と思います。



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